ケー・ドルセー41番地

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毎月月末、館より届く鈍色の便り

2022-02-28から1日間の記事一覧

第七書簡「虚無という悦楽」

ごく幼い頃、どんぐりの蒐集に凝っていたことがある。原始的な所有欲を満たすに、あのアンバー色に光沢するすべらかな長楕円の果実は充分な魅力に満ちていた。特に価値が高いのは種子がみっしりと詰まった肥えたどんぐりで、飢えた栗鼠のように、落穂を拾う…