ケー・ドルセー41番地

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毎月月末、館より届く鈍色の便り

2022-05-31から1日間の記事一覧

第十書簡「我が師匠──或る耽美主義者の面影」

これは今から約10年ほど前の話だ。 まだ10代だった私は、無味乾燥な日常にうんざりして、心安らぐ箱庭欲しさに夢遊病者のように街を徘徊する日々を送っていた。どこを歩いても、ルートヴィヒ2世の狂気のノイシュヴァンシュタイン城は現れないし、デ・ゼッサ…